「ホトケノザ」と戯れた記憶はあるだろうか?
学校の帰り道にその蜜を求め、いたずらに毟った記憶をもつひとも少なくないだろう。
他にも、あなたに蹂躙された花々はある。
- サルビア
- ツツジ
- ムラサキツメクサ
- スイカズラ
- サツキ
- オシロイバナ
- レンゲソウ
- ヤブツバキ
「学校帰りに花なんて触ったこともない。まっすぐ帰っていた」
そんなひとはいないのではないだろうか。
小学校のころは、このホトケノザの蜜を「どうやったらたくさん吸えるか」に夢中になっていた。
ぷっくりした花を狙う。
強く吸う。
まとめて毟る。
そんなことにばかり夢中になっていた。
そんなふうに、目の前のものに夢中になれていた。
あれを「幸せ」と呼ぶのなら、きっとそうなのだろう。
いつからかボクたちは、目の前の花になにも感じなくなった。
他人が下す評価ばかり気にするようになり、資本主義に則った評価に甘んじるようになっている。
「本当に自分がほしいもの」を忘れ、そこにあるものを大事にしてるフリをしている。
いつからそうなったのだろう。
なんでそうなったのだろう。
もう戻ってこない情熱をもったボクが語りかける。
「金じゃねえ。評価じゃねえ。フリじゃねえ。おまえじゃない誰かが大事にしてるモノじゃねえ。
オレみたいに、目の前のものに夢中になれてるか?」
ホトケノザは、いまも変わらずそこに咲いている。
見捨てられたのは、花々だろうか。それとも僕たちだろうか。