恋をしたことがある。きっとずっと、一生忘れることのない恋。私が恋愛体質だったら更新されるかもしれないけど、そうではないので、次の恋をしたって遺り続ける恋。本当に好きだったし、「だった」って言えるかわからないくらい、今も、なお。
それでも、ついに「愛」にはならなかった。できなかった。
持論だけど、恋は愛にならないし、愛は恋にならないように思う。途中から変わっていく人も大勢いるのだろうけれど、少なくとも私にとって恋は恋で、愛は愛だ。私の努力不足であり覚悟不足なのだが、震災クラスの恋だって、愛にはできなかった。ただひたすら好きで憧れて、夢物語のような、童話のままにしかならなかった。愛そう愛そうとしたけれど、やっぱりできなかったのだ。
こんなこと誰にも言えないが、私は妻に恋したことはあまりない。あまりなので、多少はあるが。だけど、最初から愛はあった気がする。気を遣うこともなく、自然体でいて、問題があったら向き合って、生活の一部で、SNSで自慢することもなく、穏やかな愛が。そういうのは最初から決まっている気がするし、自分の選択のような気もする。
「恋愛」っていう言葉があるけど、恋と愛は似て非なるものだ。愛は育んで大きくなっていくけど、恋は消耗品だ。どうしたって出逢った瞬間がピークで、あとはだんだんと冷めていく。新しいアプリみたいに。とすれば恋愛結婚というのは、2種類に分かれるのだ。恋を消耗しきる前に愛に変えたか、今もパートナーに恋をし続けているか。どういうカラクリなのか私にはわかりそうもないが、恋するエネルギーを持ち続けるというのは、愛するより難しいように思える。
「恋をしている」と感じたからこそ、恐かった。消耗していくことが。だから「愛してる」と口にしたし、SNSでこれ見よがしに自慢した。だからはやく、愛に換金したかった。それは叶わなかったけれど、今はそれで良かったように思う。
きっとあの恋は恋のまま輝き続けるべきだし、そうであってほしいと願うのだ。だから今も、静かに綴る。あなたを、愛してると。